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片桐家の女たち
第1章 お父様との秘め事に淫らに濡れて(彩夏の場合)
 「なんて、艶めかしいの。これが・・私。昨日までと、なにも違わないはずなのに・・。」、その妖しい表情と、誘うような、媚びを含んだからだの線は、まるで違う女のようでした。
 「女」という、別の生き物に造り変えていただいた、そんな気がしました。「もう、このからだは、いえ、心も、お父様のもの。隆司さんのこと、いまも好きだけど、それは、お父様の子どもだから・・。」、そんな身勝手な確信を覚えました。
 きっと、私のかたちは、もう隆司さんにはなじまない、そう思いました。今も、お父様のものが頭に浮かびます。お父様のものと繋がることを想像すれば、その形に沿って腰を動かす、それさえも、自然にできてしまいそうです。
 お父様に愛された部分を指で触りたい。ひとつひとつの愛撫を思い出しながら自慰をしてみたい。そんな欲望を抑えるのに、凄く、苦労しました。
 ようやく汗がひき始めたので、お洋服を身につけて、これだけはと、寝室のシーツを手早く交換しました。そして化粧を直して、帰り支度を済ませた私は、お父様とキスをし、唇を重ね、舌を絡め合い、唾液を交換しました。
 唇を重ねるたびに、醒めない疼きを覚えました。それは、お父様も同じだったのでしょう。幾度もキスを交わし、抱きしめられ、からからだ中を愛撫され、絡まり合うように玄関に向かいました。
 階段の手すりに押しつけられて、また、唇を奪われました。お父様の手がスカートを捲って下腹部に忍び込みました。下着の上から指で弄られました。「お願いです。きょ・・今日は、もう・・ゆ・・許してください。これ以上、感じてしまうと・・また、動けなくなります。帰れなくなっちゃいます。」そう言いながら、私から首筋につかまってキスを求めました。
 激しい、濃厚なキスでした。それだけで、軽く逝ってしまって、お父様に抱きしめられたまま、からだを幾度も震わせました。替えたばかりの下着が濡れていました。
 もう、帰らなくちゃ。それだけを考え、手でお父様の胸を押し返し、醒めきれないからだに次々と湧き上がる未練を思い切りました。
 お父様から離れ、呼吸を整え、身だしなみを整えました。お父様に向かって、でも、目を合わせることはできずに、「きょ・・今日は、ありがとうございました。すごく、素敵でした。お・・お父様が、よろしければ・・これからも・・。」って、それだけ伝えました。

  
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