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片桐家の女たち
第1章 お父様との秘め事に淫らに濡れて(彩夏の場合)
 お付き合いを始めて2年目の春、23歳のお誕生日に、彼のサプライズで、自宅に招かれてご両親と一緒にお祝いをしていただいたんです。すごく素敵なご両親でした。
 お父様は50代後半、不動産関係のお仕事をご長男に譲られたばかり、お母様は30代でも通りそうな、若々しいアラフォー世代、隆司さんとの血の繋がりはなく、お父様とは、再婚で20歳近くも年が離れているそうです。そして、結婚して独立したお兄様ご夫婦と、まだ、高校生の妹さん、朱音ちゃん。絵にかいたようなご家族で、母には悪いのですが、すごく羨ましく感じました。
 特に、お父様の大柄で声が大きく、それでいておおらかで、繊細な気配りもお上手なところに、すっかり魅了されて、こんな父がいたら素敵だろうなって、しばらくの間は、そのことを思い出すたびに、そう感じていました。
ご家族にあってというのも変なお話ですが、確かに、この時、結婚に向けた気持ちが動き出すのを感じたんです。
 どうせ結婚するのなら24歳になる前にしたいって、気候のいい秋に決めた式までの時間は半年間しかなくて、今、思い出しても慌ただしい日々でした。その中でも、お父様のお心遣いには、いつも感謝していました。
 私の母は二人のことだから任せると言ってくれましたけど、専業主婦のお母さまはそうはいきません。ご自分のことのように張りきられたのです。そんなお母様のご意見が強くなりそうになると、お父様が、さりげなくフォローしてくださって、おかげで、ストレスを感じることなく式の準備を終えることができました。
 新居は、隆司さんのマンションにと考えていましたが、いい物件があるから購入してはと、ご専門のお父様に言っていただいて、互いの実家のどちらからも、車で10分くらいで行ける、ちょうど真ん中辺りに住むことに決めました。
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