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片桐家の女たち
第2章 義兄を奪う妹の青い性
 食事を終えた朱音ちゃんは、手際よく食器を洗うと、今度はお部屋の掃除を始めました。
 「きれい好きの加奈子お姉さんがいないだけで、こんなに散らかっちゃうんだね。お兄ちゃんも、少しは、片づけを覚えたほうがいいんじゃない。お姉さんに、愛想をつかされちゃうよ。」、なにげないその言葉に、隆一さんの表情が曇りました。そして、思いがけない答えが返ってきたんです。
 「もう、愛想を尽かされているかもね。だって、実家に帰って1週間、電話もないんだぜ。僕が電話しても出てくれなくてさ、ラインで、しばらく、そっとしておいて、の一点張りさ。」
 朱音ちゃんは、微妙な表情を表しました。でも、あらわれかけた感情を隠すようにして、「喧嘩でもしたの。」って訊ねました。
 「喧嘩だったら、とっくに仲直りしているさ。理由が解らないから心配しているんだ。」
 「ふーん。」って言いながら、朱音ちゃんは、ちょっと意地悪く笑って「寂しいね、お兄ちゃん。」って、そう言いました。
 「まだ、それほどじゃないさ。それに、今日は、可愛い朱音が来てくれたし。」
 そう言われた朱音ちゃんの顔が、ぱっと輝いて、「本当に。だったら、夕食も作ってあげちゃおうかな。ねえ、なにがいい。」そう言って、隆一さんの腕にしがみ付きました。
 それは、朱音ちゃんなりに、計算したしぐさでした。スリムなラインの割に、豊かなバストの朱音ちゃんは、隆一さんが、自分を女として観ているかどうかが知りたかったんです。
 甘えるように、胸の谷間に隆一さんの腕を抱え込んで、柔らかなその部分を大胆に押しつけました。
 「ねえ、なにが食べたい。お兄ちゃんの好きなものを作ってあげるよ。」、そう言いながら、朱音ちゃんは腕を離さず、胸に押しつけながら、左右に揺すりました。
 無邪気でいて、大胆な行動。妹としてみている限り、それは可愛いしぐさなのでしょうが、成熟の時期を迎えつつあるひとりの女性、そう見れば、巧まざる誘いでもあったんです。
 しばらくの間、たわいない兄妹のやり取りに隠された、男女の駆け引きが続きました。先に耐えられなくなったのは、隆一さんでした。
 「やめろよ、朱音。いくら、兄妹でも、そんなことをされたら、変な気分になってしまうだろう。」、努めて冗談っぽく笑いながら、腕を引き抜く隆一さんに向けて、朱音ちゃんは、大人びた微笑みを浮かべました。
 
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