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片桐家の女たち
第1章 お父様との秘め事に淫らに濡れて(彩夏の場合)
 カチャカチャと音がして、私の乳首を吸いながら、お父様がベルトを外すのが解りました。もう、誰にでも解ります。その先に待っていることはひとつだけです。
 本気で拒否するのなら、押さえつけた腕を噛んでも、顔を引っ掻いてもよかったかもしれません。怯んだすきに、逃げられたかもしれません。とりあえず離れて、冷静になる時間ができれば、間違いは防げたのかもしれません。
 でも、できたことは、覆いかぶさったお父様の頭を押し返すような、ポーズをとることだけでした。
 「やめてください。誰にも言いませんから、お願いです。やめてください。」そう呟きながら、でも、心のどこかで逃げることを諦めていたんです。
 片手で、不器用に時間をかけて、膝のあたりまでズボンを下ろしたお父様が体を起こしました。
 私を見ることもなく、手早くズボンを脱ぎ棄てる所作に、すでに、お父様の決意は固まっているのを感じました。
 私はと言えば、ただ、茫然と、その様子を眺めているだけです。逃げることなど忘れていました。それよりも、すごいって、そう思いました。お父様の股間のそれは、彼のものとは、まるで違います。「これって、ふにゃふにゃになることあるんだろうか。」、そう思わせるくらい、硬くそそり立っています。下腹部に張り付くように、びくんびくんて波打つんです。本当にすごいんです。
 「凶暴」という言葉が浮かびました。お母様は、こんな凄いものを受け入れていたんだって思いました。澄ました、いつも上品な物腰の裏で、こんなものに貫かれて、喘いで、絶頂を・・・そう思うと少し胸が痛みました。
 15歳も年が離れた、朱音ちゃんが生まれる前のお二人。病気がちだった前の奥様の看病と手伝いに来た遠縁のお嬢さん。お母様は20代後半で、お父様は40代前半。その二人が絡み合う姿が見えたように思えたんです。
 不思議です。私、その時、お母様に嫉妬していたんです。

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