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空蝉
第13章 夜顔



まだ、夜も明けぬ 褥には

契ったあとの のこり香が いまだ、色濃く たちこめて

火照りの醒めぬ やわ肌は

いるはずもなき その人の 影に囚われ あそばれて

直したはずの 襟元や 裾の乱れを いつのまに

また、繰り返し その指で

記憶の中に 閉じ込めた 愛撫を真似て 昇りつめ

明けゆく空を 見上げては 「もっと、抱いて」と 口走る



まだ、日も射さぬ 明け方の この、ひとつ家に 居ても、なお

火照るからだは 冷めやらず

うつ、寝返りの 衣ずれに さえ、この肌の さざめいて

布団に散らす 黒髪も 「背」を探しては 乱れゆく

その人の手が その肉が 穢した胸や 太腿や

花びらさえも 愛しくて

萎まぬ、朝の 夜顔に

指を触れては 唇で 舐めてみようと 思いたつ





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