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空蝉
第14章 裏切り
静かな、初夏の 昼下がり 閉じゆく窓の 音にさえ
後ろめたさを 覚えては
待つ、秘めごとの ときめきに 高なる胸の 苦しくて
火照るからだを もてあまし
声を殺して この指で 淫らのからだ 慰めて
それでも消せぬ 愛欲に くやし涙を 伝わせる
清楚な妻の装いに
夫のほかの 彼(か)の人の 教えし、肉の 歓びを
かくしてみても 危うくて
秘かに纏う はしたなき 薄絹よりも なおさらに
淫らの風情 醸しだし
羽虫を誘う 蜜のごと 艶めく匂い 立ち昇り
男を誘う 花となる
ドアが開くのも 足音も ただ、苦しくて せつなくて
いっそ駆け寄り 縋りつき ベルトを外し その肉を
口に含んで しまえたら
そう想いつつ 生娘の ように、この身を 固くして
ずるい女の 本能は
男が望む 人妻の 惑いの姿 演じゆく
いきなり、肩を 掴まれて 振り向かされて 倒されて
身をすくめては 目を閉じて
拒否してみても このからだ 口を割られた それだけで
下着に、蜜の 溢れだす
太腿弄る その指に 知られることの 悔しくて
男の首に 手をまわし 舌を絡ませ 喘ぎだす
歓喜の波に 遊ばれて 木の葉のように 弄られて
いつか、ソファに 仰向けで 膝立てたまま はしたなく
スカート捲れ ぐっしょりと 濡れた下着は 足首に
纏わりつけど 恥じらいは
とうに、淫らな 舌先で
舐めて、取られて 唇に 喜悦の声の 溢れだす
余韻の、いまだ 醒めやらぬ からだに、肉の 欲しくなり
けだるいからだ うつぶせて ソファを滑り 降りようと
すれど、からだに 芯はなく
肌蹴た、白い ブラウスの 乳房の先の 昂りが
革に擦れた それだけで
腰がくだけて ふらふらと 濡れたお尻で 座り込む