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第15章 ひそやかな裏切り

変わりばえない　日常の　穏やか過ぎる　明け暮れが

飽き足りなくも　思われて

軽い気持ちで　繰り返す　チャットの文字の　やり取りに

気づけば、はまり　抜け出せず

やがて、あなたを　送りだし　すぐに、見知らぬ　男性と

淫らな文字の　交わりを　重ねるように　なりました



顔の見えない　気安さは　

清楚な妻の　よき母の　仮面を剥いで　しまいます

普段、隠した　欲望が　溢れて、満ちて　まいります

そして、チャットに　浮かびくる　淫らな文字に　はしたなき

男の性を　教えられ　それに、答える　わたくしの

淫らの性を　しりました



ごっこ遊びに　明け暮れた　すでに、子どもじゃ　ありません

だから、初めは　いたずらで

チャットの文字に　ゆび遊び　指示され知った　悦びが

あなたに抱かれ　腕の中

高鳴り消えぬ　初めての　恥じらいに似て　懐かしく

それにもまして　恐ろしく　思えて、ひとり　揺れました



チャットの文字に　命じられ　淫らな真似を　繰り返し

教わるままに　非通知の

耳に囁く　愛撫さえ　求めるように　なりました

もはや、あなたの　帰宅時に

乱れていても　エプロンで　隠せばいいと　ゆび遊び

あなたがくれた　エプロンを　穢して、いまも　喘ぎます



いつか、あなたを裏切って　男に抱かれ　帰宅して

そしらぬ顔で　「おかえり」の　キスをせがめる　ふしだらな

妻になります

「その前に　どうぞ気づいて　ください」と

言えぬ言葉を　飲み干して

あなたで試す　裏切りの　紅を重ねた　キスひとつ

誘いの笑みを　浮かべます