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第18章 お人形

男に抱かれ　汚される　たびに、からだは　歓びに

ふるえ、ふるえて　狂います

普段、忘れる　ことのなき　恥じらいさえも　奪われて

猥らな言葉　せかされて

この唇の　端からは　日頃、使わぬ　言の葉が

唾液のように　こぼれます


とめどないほど　ほとばしる　歓喜に、いく度　頂きを

超えても、更に　頂きへ　導かれては　わたくしの

淫らを、ひとつ　またひとつ　記憶に、肉に　刻まれて

救いの道も　見えぬまま

深い歓喜の　底なしの　沼へと落ちて　汚れます


震え止まらぬ　はしたなき　からだは、肉の　歓びに

酔わされ、酔うて　その硬い　猛りを、喰らい　つくそうと

脚を開いて　ただ深く　もっと深くと　それだけを

願う玩具に　なり果てて

いつしか、憎い　その肩に　もっと、もっとと　縋ります


男は、そんな　わたくしを　見下ろし、笑う　口の端に

くわえタバコを　くゆらせて

萎え知らぬ　肉欲の　無邪気な刃　振り上げて

肉を、こころを　プライドを　すべて、引き裂き　その果てに

望むはずなき　その精を　わたしの中に　注ぎます


けれど、不思議に　わたくしは　その瞬間を　待つのです

息を忘れて　後悔も　罪の意識も　忘れ去り

愉悦の空に　駆け上がり　無上の快楽（けらく）　身に浴びて

溶かされ、溶けて　ただ、肉の　淫らな肉の　塊に

なろうと決めて　いるのです


口のタバコを　指に取り　煙混じりの　唇を

重ねて、舌を　絡めます

すべて奪われ　なすがまま　肉人形の　わたくしは

男の舌に　舌絡め　甘えたように　縋ります

いまのわたしは　お人形　だから・・・と言い訳　するのです