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空蝉
第18章 お人形



けれど、あくびを かみ殺し からだ離して 起き上がり

萎えても太く 剥きだしの ものを口へと 押しつけて

きれいに舐めろと 命じます

しょせん、わたしは お人形

抱き人形が ミルクのみ

ただ、それだけの ことなのと 男のものを しゃぶります


男は、すでに わたくしに 欲も興味も 失って

すぐに、背を向け 散らばった 服を身につけ はじめます

余韻の消えぬ わたくしは 縋るものない 哀しさに

罪の意識を 思い出し 乱れたことの 屈辱に

いっそ、男を憎みます


ケモノに堕ちた わたくしは 悔し涙を 流します

だのに、からだは 不思議です

男を忘れ られなくて 日ごと、夜ごとに 泣くのです

どんな優しい 睦言も

どんな優しい 愛撫さえ

弄ばれる 記憶には 色褪せ果てて しまいます


わたしは、堕ちた 人形で

それを隠して 着せ替えの きれいな服を 身につけて

時が止まった ままごとの 素敵な家で 暮らします

欲望のまま 連れ出され また、汚される その時を

夢みて、じっと 待つのです

濡れたからだで 待つのです



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