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空蝉
第19章 秘恋
秘めたる恋は 長月の 空に纏わる 薄雲の
ように、こころを 曇らせて
わたしひとりを 罪人の ように、あなたの 曇りなき
瞳のそとに とめおいて 苦しき日々を 過ごさせる
秘めたる恋は 長月の 木の葉が色を 移すよう
心変わりを 願っても
抱かれた腕も 悦びも 見果てぬ夢を 越せはせず
穢れた肌の 後悔に くやし涙を こぼさせる
秘めたる恋は 長月の 夜空を星が 満たすよう
慕うこころは 幾億の 光となりて 溢れきて
いっそ、ひと夜の 娼(あそびめ)に
そう意を決めて 「お義兄様」 振り向く肩に 縋りつく