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僕のマミちゃん
第7章 count 1
図書委員が大きな音を出して迷惑をかけてしまっては、いけない。
キスをもらった嬉しさよりも先に、生真面目な思考が浮かんだ私は、口元を押さえながら、視線だけで本棚の間にいる人影を探した。
それに気付いた悟くんは、一番手前の本棚へと歩み寄り、隙間から人影を確認すると、腰を屈めてカウンターの内側に忍び込んで来た。
「ごめん、まだ人が居たんだね」
小声で謝ると、ちょうど私が座っている足元のカウンター下に、隠れるように潜って座り込んだ。
別に、係の生徒じゃないからといって、カウンターの中に入っちゃいけないなんて決まりはない。
「どうぞ、椅子に座って?」
図書室なので掠れるほどの小さな声。
隣に置かれていた椅子へ移動して、悟くんの目の前の椅子を空ける。
「こっち、こっち」
空けたばかりの椅子の座面を静かに叩く。身長の高い悟くんは窮屈そうに体を丸めている。
引っ張り出そうと思って腕を掴んだら、逆に引っ張られてしまった。
「こっちに座って」
そう言われた私は、椅子を静かに引いて元の位置に戻った。
足元に悟くんが居るから、カウンターから少し離れて不自然だけど誰も見てないし、まぁいいかな。