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僕のマミちゃん
第1章 count 7
「そんな上手じゃないの…」
俯いて小さな声で否定する。
「料理の隠し味は愛情っていうでしょ?マミちゃんが作ってくれたってだけで絶対おいしいよ!僕が保証するっ。エプロン姿可愛いんだろうなぁぁぁ。やばいね、想像しただけで…ぁぁぁぁあ」
なぜか霧野くんは顔を手で覆い、うめいていた。
家路を急ぐ人々が集中する駅の改札前に着くと、足早に流れる人たちの邪魔にならない場所で歩みを止めた。
「ほんと、ここまででいいから」
「どーして?」
黒目がちの目をくりっとさせて口角を上げる。こんなにも大きくて綺麗な目で見つめられて、私の心臓は2倍くらいに膨れ上がってるかもしれない…呼吸が苦しい。兎にも角にも送ってもらうのはここまでが限界、なんとか断る方向にもっていきたい。
「帰りの電車で霧野くん、一人でつまらなくなっちゃわないかなって…」
言ってることが自分でもよくわからなかった。案の定、霧野くんは瞳を斜め上に向けて考えてる。
「なる。ここでバイバイするのだって淋しいのに…マミちゃん、僕のこと考えてくれたんだね。すっげー嬉しい。んーじゃあ、マミちゃんの優しさをくみ取って今日はここでバイバイするね。気を付けて帰るんだよ」
良かった…もう心臓がもたないかと思った。