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僕のマミちゃん
第9章 SS メリクリ
「ひゃっ!冷たっ」
自然に手を取られ、いつものように恋人繋ぎした悟くんが悲鳴を上げた。
「あっ、ごめんなさい…」
振りほどいた手を慌ててコートの中へ引っ込めて、両袖口を付き合わせた。
「わはっ、亀さんだぁ。手、貸して」
私の手を取ると、今度は手のひら全体を包み込むように握りしめてくれる。
「小っさい手…」
悟くんの熱を私に移すようにぎゅうっと。
「寒いのに…なんで玄関の中に居なかったんだよ?」
「だって…悟くん、ケーキ見ちゃうんだもん。感想が色々聞こえてきて、恥ずかしかったんだもん」
「あははっ、そっか。けどさ、僕のために作ってきてくれたんだから一番最初に見るに決まってるでしょ?マミの前で見ればよかったね。すっごく綺麗に出来てたよ、びっくりしちゃった。はいっ、反対の手」
私の逆側へと場所を移動した悟くんが、冷え切ったもう片方の手を握ってくれる。
「すっごい美味しそうだったなぁ。今日一日ウッキウキになっちゃうよ。早く学校終わらないかなー。あっ、帰ったら写真撮ろうね」
屈託のない笑顔で、喜び勇んで私の周りをぐるっと回る悟くんを見ていたら、『一緒に見たかった』って残念がった自分が小さく思えた。
こんなに喜んだ気持ちで一日を過ごしてもらえるんだもの、私もケーキ作りを頑張った甲斐があります。嬉しく思います。
「クリプレ、あれにして正解だったね」
そう言いながら再び、元の位置に戻って手を握り、冷たい箇所を探すように繋ぎ方を変えて温めてくれた。