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僕のマミちゃん
第9章 SS メリクリ
なんとなく気に掛かってたけど、やっぱり今日は距離を取られてる気がする。私は淋しさに耐えかねて…
「悟くん、隣に来て欲しい…です」
我儘だと思ったけど、勇気を振り絞って小さな声でお願いした。
「うん。いいよ」
屈託のない笑顔で返事をし、私の隣に、よいしょっと腰をおろす。オープニングが流れ、アニメーションが始まった。何語か分からないセリフと日本語字幕、粘土細工のパジャマ姿のサンタクロースがクルクルと動き出す。
画面に集中できない、だって私は指定席に座りたいんだもの。心音がドキドキとうるさく騒ぎ出す。
そして何かに引っ張られるように、不意に立ち上がった。
「どしたの?」
不思議そうな表情の悟くんに見上げられて、私はうろたえた。言葉を用意するよりも先に体が勝手に動いちゃったから。
「そ、そこ…」
もじもじと悟くんの足元を指し、やっとの思いで2文字の言葉を紡ぎ出す。
「おいで。マミの指定席だろ?」
子供みたいに無言で頷くと、足の間の指定席に身を縮こませて、ちょこんとおさまった。
悟くんの腕がまわされる。良かった…まだ、私の場所がちゃんとあった。
背中に感じる温もりにホッとして、包み込んでくれる逞しい腕をぎゅっと握りしめた。