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僕のマミちゃん
第2章 count 6
「塚崎さん図書委員よね?」
「うん」
「借りて読んでたんだけどね、ほら、ここ見てくれる?」
机の上に図書室から貸し出された文庫本が開かれる。私は覗き込むように見開きページを凝視した。
「あっ!」
見開きの真ん中が、乱雑に波打った切れ端に姿を変え、1ページが消えている。
「これ推理小説なんだけど、犯人が解き明かされたところが破かれてるの」
「ひどい…興ざめしちゃたよね?」
橋尾さんはフンっと鼻息で同意する。
「そうなの。前後の繋がりで犯人は分かるんだけど、一番楽しみにしてたところが破られてるなんて」
「ごめんなさい」
「塚崎さんは悪くないよ。ただいつも本を読んでるから、この怒りを共感してもらえるかなって…それに図書委員だし知らせた方がいいと思って」
「知らせてくれてありがとう。これは先生に報告するから預かっていい?」
「うん、お任せする」
「返却手続きは私がやっておくね。あの…もし良かったら、この本読む?」
栞を挟んで、閉じた文庫本を差し出した。それはお詫びのつもりだった、私が破いた訳じゃないけど図書委員としての責任を感じて。