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僕のマミちゃん
第2章 count 6
平常心…平常心…唱えながらドアを開け、カウンター内に入るため、当番の子と楽し気に話す霧野くんの後ろを気配を消すように通った。
「あっ、マミちゃん!やっぱり図書室に来た…」
壁に貼られた貸し出し係の当番表を指しながら三日月目で笑う。
「良かった。この表チェックして当番じゃない日だったから一緒に帰ろうと思って校門で待ってたんだけど、なかなか来ないからひょっとしてと思って探しに来たよ」
「え?あ、ちょっと…仕事が…」
まさか私に用があるとは思ってもいなかったから気後れして声が小さくなってしまう。
もそもそとカウンタ―内に入り、当番の子に破れた本の事情を話して、貸し出しカードの手続きを済ませる。うちの学校の図書管理は全て手作業、バーコードなんて付いてない。
「彼と一緒に帰るの?」
興味津々に小声で、そう聞かれた。
「よく分からないけど…同じクラスだから?」
と私もよく分からない返事をしてしまった。私に用事があるなんて話は聞いてないし、一緒に帰るなんて約束もしていない。ましてや、なぜ私が?
ドアの所で霧野くんがニコニコと笑顔で待っている。
処理を済ませた私はドアを通って帰るんだけど、霧野くんに『お待たせ』って言うべきなの…それとも黙って通り抜けちゃう?