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僕のマミちゃん
第2章 count 6
この間は、偶然に下校時間が一緒になって駅までふたりで帰ったけど、今日は私を待っててくれた…ってこと?
下を向いてドアに近寄る。
霧野くんがドアを開けてくれて、
「お仕事終わった?おつかれさま。ね、ね?今日さ…」
どうリアクションをしようか頭を悩ませていた私の隣に並んであっけなく話し始めた。
たくさん楽しい話をしてくれるのに、顔を上げられず『うん』しか返せない。
笑顔で話をしたいって思ったのに……
勇気を振り絞って、笑顔で霧野くんをちらっと見る。
ああ、眩しくて、無理…
で、でも頑張らないと能面根暗女って思われて嫌われちゃう。せっかく友達にしてもらえたのに。もう一度、勇気を出して笑顔で霧野くんを見よう。
いち、にーのさっ…
「うわっと!マミちゃん危ないっ!!」
後方から歩道を走り抜けてきた自転車に、ぶつかりそうになった私を霧野くんが引き寄せてくれた。
「大丈夫?どこもぶつかってない?もうっ、自転車はこの歩道を走っちゃダメなのに。しかも逆走してたし!マミちゃんに怪我でもさせられたら怒っちゃうよ!もう怒ってるけどさ!」
「ありがとう。私が不注意だったから…」
霧野くんの優しさと、自分が余所見していた気恥ずかしさで、照れ笑い。