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僕のマミちゃん
第1章 count 7
特に比べる必要もないけど、私のまわりには誰一人いない…友達はいない。
おとなしく、人付き合いが苦手な私、
塚崎眞実(つかさきまみ)はそんな彼に憧れる。
憧れるといっても、彼のように沢山友達が欲しいわけじゃないの。こうして教室の窓際の席で本を読みながら、彼が巻き起こす賑やかな空気感を、輪の外から感じられるだけで幸せになれるというレベル。
手の届かないキラキラした綺麗なものにうっとりする、そういった憧れの感情。まさにアイドルに憧れるファン。
高校に入学してすぐの頃、近くにある大きな運動公園まで歩くという、ただそれだけのオリエンテーリングがあった。野外で生徒間の交流を図るのが目的なのにひとりぽつりと歩いていた。そのぼっちな私に向かって話しかけてくれたのが面識もなかった霧野くん。
「空が青いね」
面白くも何ともない見たまんまの風景を伝える言葉……
下ばかりを見て歩いていた私は、その言葉の主を一瞬見てから顔を天に向けた。本当に雲ひとつない薄い水色の空。
屈託のない笑顔でそれだけ言うと、先に居る友達の所へ足早に駆けて行った。
たった一言だったけど、その言葉と笑顔は私の高校生活に大きな変化をもたらしてくれた。私はそれ以来、本を読む合間に空を見上げることを覚えた。空を見上げるたびに私に向けてくれた霧野くんの笑顔を思い出す。
そして2年に進級し霧野くんと同じクラスになって、こうして幸せな高校生活を送っている。