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僕のマミちゃん
第1章 count 7
図書委員の私は放課後になると本の貸し出し係をするために図書室に籠る。クラスから一人ずつ選出された委員の持ち回りで係を担当するのだが、部活や塾、バイトでほとんどの生徒が係を担えない。そこを私が率先して係を受け持った…と言えば聞こえはいいが、要は押し付けられただけ。
そんな私はここがお気に入りだった。本の匂いに包まれて、落ち着いた気持ちで寛げる、私の居場所。
新書もまともに置かれず閑散としたここへは、読書好きのいつもの顔ぶれが古い小説を借りに来る程度。
ごくたまに彼らとはまた別に、本とは無縁そうな生徒がやって来る。
入口近くのカウンター席に座っている私から大分離れた本棚の陰からボソボソとした男女の声が聞こえる。
彼らは、図書室で秘密裏に告白をしているの。校内に告白をする定番の場所がいくつかあるけれど、ここもその中のひとつ。
ふたり一緒に図書室を出ていく時は両想い、バラバラに出ていく時は残念ながら…
私は本と同化して居ないふり。何も見てないし、何も聞いてない。もちろんこんな影の薄い私を気に留める人もいない。
何度か霧野くんの姿も見かけた。霧野くんはいつも楽しそうに小声で話をしながら、女の子とふたりで出て行く。
また両想いになったんだ…
自分で恋愛というものが出来ない分、霧野くんの隣を歩く女の子に自分を投影し、ハッピーエンドに胸をときめかせ、妄想に浸っていた。