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僕のマミちゃん
第3章 count 5
「今日はコンビニに寄って飲み物買おうよ。マミちゃんの好きなもの知りたいんだ。そうだ!歩きながら好きなものを交互に言うゲームしよ。僕からねー、んーと、マミちゃん!はい、次はマミちゃんの番」
「えっ?えっと…き、霧野くん」
「むふふぅ。僕らバカップルだね。ねぇマミちゃん、僕のこと名前で呼んでよ、悟って。その方が恋人っぽくていいよね」
いきなり高いハードルが突き付けられる。
…さ、さ、さと……うっうっ、心の中でも呼べない。
「い、家で練習してきてもいーい?」
「えー練習が必要?僕の名前呼ぶのそんなに勇気いる?じゃーあー意地悪しちゃおっかなぁ…マミちゃんが悟って呼ぶまで、僕しゃべらないから。マミちゃんひとりでしゃべってて」
「そんな…困る」
ただでさえ口下手なのに、ひとりで話せって…
助けを求めて霧野くんを見上げると、手で口を塞ぎ、耳にもう片方の手を添える。名前を呼んでって言ってるみたいに。
「霧野くんの意地悪…」
霧野って言った!そう言いたげに口を隠しながら指でさされる。
急に名前で呼べって言われても恥ずかしくって出来ないよ…
自信なさげに俯いた私の手が、不意に握られた。身長差約20センチ、私の顔を首をかしげて覗き込む。屈託のない笑顔からは白い歯がこぼれる。そんな素敵な笑顔を向けられても、困っちゃう。