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僕のマミちゃん
第3章 count 5
霧野くんは宣言通り一言もしゃべらない。しゃべらないけど顔を覗き込んでは微笑んだり、頬を膨らませて目を細めたり、表情で催促してくる。
名前を呼ぶの待ってるのよね?
どうしよう…どうしよう…
私は焦るばかり。
霧野くんもしゃべってくれないし、私もしゃべれなくって無言のまま、コンビニのドリンクコーナーの前へ。
パックのいちご牛乳に霧野くんの手がさっと伸びる。私もいちご牛乳の隣に並んでいたパックの桃水を手に取った。
振り返った先にあるスイーツコーナーで霧野くんがシュークリームを手にした。私も隣に並ぶロールケーキを買おうかと思ったけど、食べるどころじゃないからそこはスルーした。
霧野くんが、要らない?と私に伺いの視線を向ける。
つられるように無言で首を左右に振った。
完全に言葉を交わさないふたりになっている。どうしよう…名前を呼ぶきっかけがつかめない。何か会話をしなければ…これじゃ、いつまで経っても無言のまま。
なかなか踏み出せないでいる私の桃水を霧野くんに取り上げられた。そのままレジに向かおうとする霧野くんの制服のシャツを摘まんで引き止める。
「あの、お会計は別で…」
ニッコリ笑うだけで、まとめてレジでの支払いを済ませてしまった。