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僕のマミちゃん
第3章 count 5
コンビニを出たところで、自分の支払い分を渡そうと、小銭を握りしめた手を霧野くんに差し出す。
「これ、私のジュース代」
霧野くんはニコニコと手を振るばかり…
受け取って貰わないと…困る。
「さ…」
足を止め、勇気を振り絞って名前呼びした。
「悟くんっ!お金受け取ってくれないと、手が、繋げ、ない…です」
小銭を握りしめた手を前に伸ばして全力で俯いた。
名前呼びすればお金を受け取ってくれるだろうか?悟くんのことだから、おごってくれちゃうかもしれない。
でも、こういうことは最初が肝心で、たかが百数十円の金額だけど、きちんとしたかった。そのために自分から手を繋ぎたいようなことまで言っちゃって…恥ずかし過ぎて時間を戻したい。
時間を戻して、もっと早い段階で名前呼びをしたい……
「そうだねーっ!」
振り向いた悟くんは、私の手からもぎ取った小銭をズボンのポケットにしまうと、指を絡めて寄り添うように歩きだした。
「はぁー、マミちゃん苦しかったよぉー。しゃべれないってこんなに辛いことだったんだね。一生分くらい沈黙したかもしれない。ね、ね?さっき聞きたかったんだけど、桃好きなの?」