この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
僕のマミちゃん
第4章 count 4
「おーい、塚崎さーん。霧野の隣においでよー」
突然、私にお呼びがかかった。クラスメイトの視線が突き刺さる…
そ、そんな恐ろしいこと言わないで下さい。は、恥ずかしくて、行けるわけないじゃないですか…偶然にも読んでいた文中にある『逃走』という漢字を凝視する。
無視は良くない。クラスメイトだもの、何か返事を返さなくては…焦るばかりの私は『逃走』から益々目が離せなくなる。
どうしよう……
「新しい本、持ってきたよ。それからこっちは借りてた本」
机の上に本が2冊…いつの間にか橋尾さんが私の横に立っている。まるで悟くん達の視線を妨げるような立ち位置で。
「あ、うん」
本に手を伸ばすと同時に悟くんの声が聞こえた。
「窓際の席で背筋を伸ばして本を読んでる姿が綺麗でしょ?遠くからその姿を眺めるのが好きなんだー。だから、みんなもそっとしておいてくれるかな」
「へぇー、きりのっちってロマンチスト?きゃは」
「おけ、おけ。きりのっちがそう言うなら。ネー」
「仲良くお幸せにってことで、いーんじゃねーか?俺にも幸せをわけろよっ」
痛かった視線が引いていき、そして次の話題へと移り変わる。
悟くんの一言で周りのクラスメイトが納得してしまう。すごい影響力。