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縣男爵の憂鬱 〜 暁の星と月 番外編〜
第1章 縣男爵の憂鬱
「大丈夫ですか?兄さん、火傷はしなかったですか?」
暁が慌てて、ハンカチで拭いてくれた。
その白い手と礼也の手が触れ合い、礼也はなぜだかドギマギとした。
「…だ、大丈夫だ。…それより…お前の恋人…と言ったな…それは…」
しどろもどろになる礼也に、暁はややはにかんで頷く。
「…はい。…彼も、兄さんにきちんとご挨拶したいと言ってくれました」
「…そ、そうか…」
…そいつは、一体どこのどいつなのだ…喉元まで出かかる質問を礼也は飲み込む。
「私もお前の恋人にはぜひ、会いたいと思っていたのだ」
暁はしっとりと濡れたような黒眼勝ちの瞳を嬉しげに細めた。
そして、礼也の手を握りしめる。
「ありがとうございます!兄さん、兄さんが会ってくださると聞いてほっとしました」
…なんて…なんて可愛いんだ!
暁の愛らしさにうっとりする。
「私はいつでもお前の味方だ」
「では、明日の夜に僕の家に来ていただけますか?
その時に紹介いたします」
「分かった。明日だな。楽しみにしているよ」
…だから…だから…それは一体、誰なんだ⁈
今直ぐ聞きたい気持ちを抑え、礼也は鷹揚に頷く。
暁はにこにこしながら、告げる。
「それでは僕はまた店に戻ります。今日はギャルソンが二人も休んでしまって人手が足りないので、代わりが来るまで急遽、手伝いに入ることにしたのです」
「それはご苦労だな。だが無理しないように」
暁は嬉しげに頷きながら、一礼すると執務室を後にした。
礼也はがくりと首を垂れた。
…結局、聞き出せなかった…。
一体誰なのだ!明日までこのモヤモヤを引き摺らなくてはならないのか ⁉︎
まさに蛇の生殺し状態である。
礼也は力なく溜息を吐きながら、頬杖をついた。
暁が慌てて、ハンカチで拭いてくれた。
その白い手と礼也の手が触れ合い、礼也はなぜだかドギマギとした。
「…だ、大丈夫だ。…それより…お前の恋人…と言ったな…それは…」
しどろもどろになる礼也に、暁はややはにかんで頷く。
「…はい。…彼も、兄さんにきちんとご挨拶したいと言ってくれました」
「…そ、そうか…」
…そいつは、一体どこのどいつなのだ…喉元まで出かかる質問を礼也は飲み込む。
「私もお前の恋人にはぜひ、会いたいと思っていたのだ」
暁はしっとりと濡れたような黒眼勝ちの瞳を嬉しげに細めた。
そして、礼也の手を握りしめる。
「ありがとうございます!兄さん、兄さんが会ってくださると聞いてほっとしました」
…なんて…なんて可愛いんだ!
暁の愛らしさにうっとりする。
「私はいつでもお前の味方だ」
「では、明日の夜に僕の家に来ていただけますか?
その時に紹介いたします」
「分かった。明日だな。楽しみにしているよ」
…だから…だから…それは一体、誰なんだ⁈
今直ぐ聞きたい気持ちを抑え、礼也は鷹揚に頷く。
暁はにこにこしながら、告げる。
「それでは僕はまた店に戻ります。今日はギャルソンが二人も休んでしまって人手が足りないので、代わりが来るまで急遽、手伝いに入ることにしたのです」
「それはご苦労だな。だが無理しないように」
暁は嬉しげに頷きながら、一礼すると執務室を後にした。
礼也はがくりと首を垂れた。
…結局、聞き出せなかった…。
一体誰なのだ!明日までこのモヤモヤを引き摺らなくてはならないのか ⁉︎
まさに蛇の生殺し状態である。
礼也は力なく溜息を吐きながら、頬杖をついた。