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honey chocolate
第3章 焦燥の緋色


コーヒーを飲み干し、他愛の無い話をし、じゃあそろそろお開きというところ。


「今日はありがとう」

「いや・・・」

「じゃ、また会社でね」

「あ、あのさ!良かったら、また次の休みも・・・」






「おや、デート中かな?」







「・・・え?」



「ぅわ!城山さん!!」


森山が慌てて反応する。


どうして。


「お疲れ様です!」


知咲は立ち尽くしたまま。


「城山さんもここのカフェに?」

「あぁ、俺はここがお気に入りでね」

「そうだったんですか!」


ちら、と横目で見るその目線に、なぜか知咲は自分が悪い事をしてそれがバレてしまった時の様な心境になり、俯く。


「しかし、森山君と本郷さんか。お邪魔して悪かったね。」

はっ、とする。

「ち、違います・・・!きょ、今日はコーヒーを飲みに来ただけで・・・っ」


なんでこんな言い訳みたいな事を。


「ま、俺は退散するから、ごゆっくり」


後ろめたさを感じなきゃいけないの。



「・・・ごめん、帰るね」

何となくバツの悪さを感じた知咲は一刻も早く、この場から離れたかった。


「あ、送るよ」


「ううん、大丈夫」


何とか絞り出した作り笑いをし、微妙な空気を場に残したまま知咲は一人濃くなりかけている夕闇に歩を進めて行った。



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