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honey chocolate
第3章 焦燥の緋色



「・・・どうぞ。」



悔しい。入れたくなかったのに。

でも相手はあくまで上司。お茶の一杯でも出してさっさと帰ってもらおう。


ワンルームの小さな部屋に城山さんがいる。
なんか変な感じ。


なるべく近付きたくなくて台所でお茶の準備に取り掛かる。


コトコトとケトルがお湯を沸かし始める。



「コーヒーですが、お砂糖とミルクは・・・」


「無しで」


気まずい。


緊張して手元が震える。


ケトルのスイッチが、カチ、と鳴り、お湯が沸いた事を知らせる。
ケトルを傾け、カップにお湯を注ぐ。
震えた手元にカップがぐらつき、そのまま重力に逆らわず床へと落ちる。


「あ・・・っつぅ・・・!」



「落としたのか?」


がた、と、城山が近付く。


「だ、大丈夫です!!」



来ないで来ないで・・・!!



スカートにコーヒーが跳ね、シミになっていた。露出していた膝から下へとコーヒーが滴っていた。

「おい、火傷してるんじゃないのか」


「や、本当大丈夫ですから・・・っ」


「そんなわけないだろ」


ガバっと持ち上げられる。


「あ、あ、歩けますから!!」


「風呂場はここか?」



ストンとバスタブに腰を掛けさせられ、シャワーから冷たい水が出る。


コーヒーがかかった膝へシャワーがあてがわれる。


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