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第27章 吐露

遠い意識の向こうから声が聞こえる…。

はっ！
クリニックのベットで点滴を受けながら私は眠ってしまっていたみたいだった。

記憶が蘇ってから食欲が低下してあまり食べれなくなった私にご主人様は点滴を処方。
以前にしていた点滴のそれと訳は違う。

カーテンの向こう側でご主人様と島崎先生の声が聞こえる。

「 彼女の様子はどうなんだ？」
「 あぁ、回復してきている。体調の方は記憶の回復のせいでいま、食欲が落ちてる。摂食障害とまではいってないけど念のため点滴を処方してる。今も、診察室で点滴してるけど眠ってしまってるみたいだ。」
「 そうか…。記憶が回復したのならもちろんあの日の事も思い出したんだろう？彼女は何も言わないのか？」
「 思い出してるはずだが…。一言も何も触れてこない。」
「 それ、思い出してないんじゃないか？聞きもしないなんて普通あり得ないぞ。それにいくらプレイだとしてもあれだけの事があれば出て行ってもおかしくないだろ？」
「 出て行かないのは俺が出て行けない様にしてるからだ。」
「 神崎は精神的揺さぶりをかけるのが上手いからなぁ。心理学の悪用だな。」

2人は笑談していた。
島崎先生はご主人様の内側の顔を知らないのかもしれない。
でも、あの部屋で手足を拘束され目隠しに口枷をされた状態の私を見ているはず。
それに島崎先生の病院にご主人様と意識のない私を搬送している。
島崎先生からご主人様はどんな風に映っているんだろう。