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幸せの欠片
第9章 クラブで
 これなら大丈夫だと思ったけれど、スウェット男性が、「ほら、足を広げなさいよ。それじゃあ、面白くないでしょう?」と言うのには、少し閉口した。

 悟を見ると、顎を上げて、「やるんだよ」とでも言うように促している。

 仕方なく足を開くと、下の観客たちから拍手が沸いた。

 恥ずかしい、と思う。

 これが原の目的なのだ。

 男はいきなり秘所の辺りにロウソクを落として来た。

「あぁ……」

 消え入るような声で身悶えすると、観客がわーっと声を上げて喜んだ。

 アリアの方の青シャツの男性は、お尻に落とすのが好みらしく、すでに積もるような量のロウが肌に貼り付いていた。

「あぁーーーっ! 熱いっ! うぅっ……」

 アリアは大きな声を出している。

 こういう遊び、これも楽しいでしょう? というアリアの声が聞こえて来るようだった。

 スウェットの男は、ピンポイントで落とすのが楽しいらしく、秘芯を狙って落として来る。

 一つ目は、やはり声が出るくらいの熱さを感じるが、その上に落とされるのは、慣れればさほど熱さを感じなかった。

 それでも、麻衣はアリアを真似て、少し大げさに声を上げるようにした。

 しばらく、ロウソクのプレイが続き、やがて悟がストップをかけた。

「はい、どうでしたか? そろそろ次のプレイに移りますので、交代をして頂きましょう。みなさん、拍手をお願いいたします」

 そう言ったのを合図にクレーンがやって来て、悟にロウソクを返した二人が乗って、観客の中に紛れて行った。

 熱さや痛みではなく、縄で縛られたところへ赤いロウソクの落ちて来る派手な色合いにも恥ずかしさが増した。

「では、次はウィップ。ムチですよ。さぁ、どうですか? 握ってみたい人!」

 やはり、この誘いにも一瞬で十数人の手が上がった。

 また、同じように二人の男性が選ばれた。

「そこの紫の縞のシャツの方と、黒いポロシャツの方、どうぞ!」

 今度はムチなので、先ほどのようにはいかなかったが、それでも、先の分かれた専用のものなので、激しい痛みを感じるようにはできていないらしかった。

 やはり悟が細かい注意を与えると、男性たちは、威嚇をするように床を叩いて音を出し、得意そうだった。

 ピシーッ!という音が会場に響いた。
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