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幸せの欠片
第9章 クラブで
 悟が「では、皆さんありがとうございました」と締めくくって、鞭のショーは終わった。

 麻衣とアリアは、何も知らされていないので、この次のスケジュールは観客達と同じように、悟のアナウンスによって知ることになる。

 まだ責めのプレイが続くのかと思っていたら、そうではないらしい。

 麻衣がアリアの方を見ると、やはり彼女にもほっとしたような表情が浮かんでいた。

 しかし、それは本当の終りではなかった。

「いつもは、ここで女性を飼育する権利をオークションに出させて頂くところですが、今日は出せないのです。大変、贅沢で申し訳ないのですが、この二人を飼育する権利は私だけにありまして、今のところ、どなたにもお譲りする気はありません」

 悟がそう告げると観客からはブーイングが飛んだ。

 麻衣は悟の妻だが、アリアは悟のパートナーだ。

 そして、妻とパートナーも惹かれ合っていた。

 更に、この時の麻衣とアリアの間には、不思議な同胞感さえあった。

「その代わりと言っては何ですが、私のものであることを示す烙印の代わりに、二人の秘所には鎖を付けることにしました。お立会いをご希望される方は、どうぞ、そのままお残り下さい」

 はっと驚き、麻衣がアリアの方を見た時、アリアは『仕方がないわね』というように肩をすくめた。

 悟は、いつも何の説明もしないままに、物事を進めて行く。

 麻衣は、悟との結婚生活の中で、いつも、はっとしながらついて行くのが常だったが、そのやり方がここでも続けられていた。

 アリアは、外国人女性で、はっきりしたところがあるけれど、悟の決めたことに逆らう様子はなかった。

 
 舞台の上には診察台に似たシートが二台用意された。
 
 それを狙って、カメラとスクリーンが置かれる。
 
 スクリーンは大きくはなかったが、20人ほどの観客が観るのには充分だろう。
 
 準備の隙にアリアが麻衣に囁いた。

「秘唇は、意外と鈍感らしいです」

 アリアが麻衣を気遣うように言った。

「つまりピアス穴を開けるということでしょう?」

「そうですね。私もまだ見たことがありませんけど・・・・・・」 
 
 そこへ原と谷口、デボラがやって来て、アリアと麻衣を別々の台の上に開脚状態にし、拘束具を使って固定した。




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