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幸せの欠片
第10章 旅立ち
 麻衣がテーブルに腰掛けてテキストを読んでいると、悟は、麻衣を立たせて、お尻を突き出すように要求した。

 もちろん、麻衣はスカートの下に下着など付けていなかった。

 悟は、いきなり指を入れてかき回すと、「なんだ、もう濡れているじゃないか。濡れているのは英語で何と言う?」

「ウエットです」

「欲しいか?」

「はい、あなた……あぁ……」

「それも英語で言ってみろ」

「イエス、マスター……」

「今、脚を椅子に括りつけてやる。こういうのは何て呼ぶんだ?」

「ボンデージ……」

「よし、よく出来たぞ。後ろからたっぷりと可愛がってやる」

「イエス、プリーズ……」

 悟は、秘密を曝け出して以来、とても理解しやすい人になり、麻衣には、とてもいいパートナーだと思う。

 ただ、夫との行為に夢中になっている時にも、ふとアリアのことが思い出された。

 夫は、どうなのだろう?

 いや、疑うまでもなく、麻衣と同じように思い出しているのに違いない。

 時折、メールでやり取りはしているものの、アリアは、ビジネスの立ち上げで忙しそうだった。

 その上、厳しい状況の中にいるのか、少し気難しい女性の雰囲気さえ醸し出していた。

 
 しかし、アリアが帰国して半年が過ぎた頃、やっと元の明るい調子のメールが届いた。


       ♡

 麻衣、

 お元気ですか?

 やっとクラブ経営の承認が下りました。

 親や親戚には話したくなかったので、彼らのコネクションも使えず、信頼できる友人をたどって、何とかホテルの一角を使えるようになりました。

 ぜひ遊びに来て下さい。

 麻衣に会いたいです。

 アリア

       ♡




「アリア・・・・・・」 


 胸がギュッと何かにつかまれたように苦しくなった。

 中東の灼熱の小国にアリアはいる。

 行こう! アリアに会いに!





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