この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
幸せの欠片
第3章 夫とのカンケイ

「ビールは飲む?」

「そうだな」

「今、持って来るわね」

 
 缶のビールをグラスに注ぎながら、さりげなく夫の様子を伺った。


「今日は、予定がキャンセルになって早く帰って来たんだが、お前はデパートに行ったんじゃなかったのか?」


 一瞬、ドキリとしたが、それで在宅の確認のために電話をかけて来たのだと分かった。


「えぇ。行ったんだけど、結局、食品だけを購入して帰って来たの」

「どうして? スカートが欲しかったんじゃないの?」

「えぇ、そのつもりで出掛けたんだけど、好みとサイズが合わなくて……」

「デパートで標準体型なら、いくらでもいいものが見つかっただろうと思ってた」

「えぇ」

「太った?」

「まぁ.....,少し」

「あ、そうだ。じゃあ、スポーツジムにでも通ってみるか?」

「えぇ、でも私、スポーツは苦手だから・・・・・・」

「実は、会社の提携しているジムがあって、家族も社割で入会できるらしい」

「まぁ」

「隣の駅のすぐ向かいだし、近くていいんじゃないかと思ったんだ」

 ― 隣の駅・・・・・・。


 隣の駅とは、あの痴漢達が降りて行った駅だ。

 きっと、あの男達は、乗り換えるか引き返すかしたのだろうし、隣の駅に留まっている筈もなかったが、駅を思い出しただけで体に小さな電流が走った。

 でも、夫の悟は、そんなこととは露知らずに話をしているのだから、出来るだけ自然に振舞おうと思った。

「えぇ・・・・・・」

「行ってみて、好きじゃなかったら止めればいいさ」

「そうね・・・・・・。一度、行ってみるわ」

「予約制だそうだから、俺に言えば、予約しておいてやるよ」

「えぇ、ありがとう」



 夫は頷くと、二つ目の春巻きを箸でつまんでいた。

 見ると、夫のグラスのビールが残り少なくなっていたので、横から注ぎ足す。

 その時、ふと自分の手首が目に入り、まだ紐の痕が残っているのが、はっきり見えた。

 はっとして、夫の顔を見たが、夫は何も気付いていない様子だった。

 慌てて手を引っ込めるのもおかしいので、出来るだけ自然に見えるよう緊張しながら手を引き、テーブルの下に隠した。
/112ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ