この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
幸せの欠片
第3章 夫とのカンケイ
食事を終えると、夫はしばらくパソコンを開き、何かの調べものをしているようだった。
その間に、麻衣は洗いものを終え、洗面を済ませた。
夫が遅く帰って来た時なら、もうそろそろベッドで休むところだけれど、時間を見ると、まだ早かった。
紐の痕を咎められると困ると思い、麻衣は仕事を探した。
いつ見つかるかもしれないと思うと、夫の側にいるのが不安に思える。
急ぎではなかったが、料理教室に持って行く布巾のことを思い出し、寝室の次の間でアイロン掛けをする準備をしていると、夫がやって来た。
「麻衣、寝るよ」
「でも、まだ時間が・・・・・・」
「せっかく早く帰って来たんだ。明日はゴルフもないし・・・・・・」
「えぇ・・・・・・」
「いいじゃないか、来いよ」
恥ずかしいとは思うけれど、痴漢に遭ったことで体が敏感になっているのは事実で、夫を欲しいと思う。
ただ、普段通りに振舞えるかどうか自信がなかったので、今夜、夫に抱かれることは避けたかった。
けれども、月の障りのある時には、あまり外出をしないことを夫は知っている。
デパートへ行ったのだから、そうとも言えず、とっさに良い言い訳が見つからなかった。
「今、行くわ」
ひとつ嘘を吐くと、それを隠す為に、また別の嘘を吐かなければならなくなる。
子供の頃、よく父親に言われたことを思い出す。
その通りだと思う。
だけど、今日起こったことを話したら、夫がどんな風に解釈するか分からなかったし、反応も、全く想像ができなかった。
嘘を吐きたくはないけれど、黙っていれば、平穏な生活を守ることが出来ると思った。
― ただ黙っているということと、嘘を吐いて誤魔化すのとは違うのじゃないかしら?
積極的に嘘を吐くというのでなくても、事実をそれとは違うように見せるという意味では同じだ。けれど、麻衣にとっては、波風を立てないことが、何よりも大切なことだった。
意を決してベッドに向かう。
― いつものように自然に夫に身を任せれば大丈夫。
まるで何もなかったように、ベッドの縁に座り、夫の横に滑り込んだ。
「麻衣、何か言いたいことがあるんじゃないの?」
ベッドに入ると、突然、そんなことを訊かれた。
「え・・・・・・?」
その間に、麻衣は洗いものを終え、洗面を済ませた。
夫が遅く帰って来た時なら、もうそろそろベッドで休むところだけれど、時間を見ると、まだ早かった。
紐の痕を咎められると困ると思い、麻衣は仕事を探した。
いつ見つかるかもしれないと思うと、夫の側にいるのが不安に思える。
急ぎではなかったが、料理教室に持って行く布巾のことを思い出し、寝室の次の間でアイロン掛けをする準備をしていると、夫がやって来た。
「麻衣、寝るよ」
「でも、まだ時間が・・・・・・」
「せっかく早く帰って来たんだ。明日はゴルフもないし・・・・・・」
「えぇ・・・・・・」
「いいじゃないか、来いよ」
恥ずかしいとは思うけれど、痴漢に遭ったことで体が敏感になっているのは事実で、夫を欲しいと思う。
ただ、普段通りに振舞えるかどうか自信がなかったので、今夜、夫に抱かれることは避けたかった。
けれども、月の障りのある時には、あまり外出をしないことを夫は知っている。
デパートへ行ったのだから、そうとも言えず、とっさに良い言い訳が見つからなかった。
「今、行くわ」
ひとつ嘘を吐くと、それを隠す為に、また別の嘘を吐かなければならなくなる。
子供の頃、よく父親に言われたことを思い出す。
その通りだと思う。
だけど、今日起こったことを話したら、夫がどんな風に解釈するか分からなかったし、反応も、全く想像ができなかった。
嘘を吐きたくはないけれど、黙っていれば、平穏な生活を守ることが出来ると思った。
― ただ黙っているということと、嘘を吐いて誤魔化すのとは違うのじゃないかしら?
積極的に嘘を吐くというのでなくても、事実をそれとは違うように見せるという意味では同じだ。けれど、麻衣にとっては、波風を立てないことが、何よりも大切なことだった。
意を決してベッドに向かう。
― いつものように自然に夫に身を任せれば大丈夫。
まるで何もなかったように、ベッドの縁に座り、夫の横に滑り込んだ。
「麻衣、何か言いたいことがあるんじゃないの?」
ベッドに入ると、突然、そんなことを訊かれた。
「え・・・・・・?」