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幸せの欠片
第5章 スポーツジム
またノックの音が響き、部屋に男性が入って来た。
「こんにちは。スペシャルトレーナーの水元櫂です」
「はじめまして」
年齢は勇也と同じくらいに見えるが、こちらはイケメンというよりも親しみの持てる顔だった。
やはり、専属トレーナーともなると、緊張させるようなイケメンよりも、こういう親しみの持てる相手の方が話が出来ていい、ということかもしれないと、麻衣は思った。
櫂は、ファイルを机の上でとんとんと揃えてから置いた。
すると、軽くめくれた袖の中、腕時計のベルト位置から5cmほど上のところに、碇に似た形のタトゥーが見えた。
大きくはないが、はっきりと模様がわかった。
夫の方をちらりと見やると、夫は、にやりと笑ってから、小さなバッジの付いたカードのような物を階に見せた。
櫂は、さっと立ち上がって一礼すると、
「オーナーズの方でしたか。これは失礼致しました」と言った。
麻衣には何のことか、さっぱりわからなかったが、もしかして、夫は、このジムを経営している会社の株でも持っているのかもしれないと思った。
「いや、いいんだ。座ってくれ。仲間の印のつもりでしかないから」
「はい、ありがとうございます」
「早速ですが、お話を伺ってもよろしいでしょうか?」
「うん、まぁ、そうなんだが、私の妻をお願いしたくてね・・・・・・」
「はい、承知致しました。メニューは如何致しましょうか?」
「細かいところにこだわりはないんだ。本人が少し痩せたいと言っているので、トレーニングを受けさせようと思って連れて来たんだよ」
「ありがとうございます。では、奥様には、資料を見て頂いて、その間にご主人様と少しお話出来るとありがたいのですが……」
「なるほど。では、よろしく頼むよ」
「では、奥様。こちらのオリエンテーションビデオをご覧になっていて下さい」
「はい」
そう言うと、櫂はモニターのスィッチを入れ、Welcomeの文字列が浮かび上がるのを確認してから、一礼して部屋を出た。
夫は櫂の案内に続いて、「すぐに戻る」と言って出て行った。
なんだか不思議だった。
トレーニングを受けるのは麻衣なのに、夫と櫂で何を相談するのだろうか。
「こんにちは。スペシャルトレーナーの水元櫂です」
「はじめまして」
年齢は勇也と同じくらいに見えるが、こちらはイケメンというよりも親しみの持てる顔だった。
やはり、専属トレーナーともなると、緊張させるようなイケメンよりも、こういう親しみの持てる相手の方が話が出来ていい、ということかもしれないと、麻衣は思った。
櫂は、ファイルを机の上でとんとんと揃えてから置いた。
すると、軽くめくれた袖の中、腕時計のベルト位置から5cmほど上のところに、碇に似た形のタトゥーが見えた。
大きくはないが、はっきりと模様がわかった。
夫の方をちらりと見やると、夫は、にやりと笑ってから、小さなバッジの付いたカードのような物を階に見せた。
櫂は、さっと立ち上がって一礼すると、
「オーナーズの方でしたか。これは失礼致しました」と言った。
麻衣には何のことか、さっぱりわからなかったが、もしかして、夫は、このジムを経営している会社の株でも持っているのかもしれないと思った。
「いや、いいんだ。座ってくれ。仲間の印のつもりでしかないから」
「はい、ありがとうございます」
「早速ですが、お話を伺ってもよろしいでしょうか?」
「うん、まぁ、そうなんだが、私の妻をお願いしたくてね・・・・・・」
「はい、承知致しました。メニューは如何致しましょうか?」
「細かいところにこだわりはないんだ。本人が少し痩せたいと言っているので、トレーニングを受けさせようと思って連れて来たんだよ」
「ありがとうございます。では、奥様には、資料を見て頂いて、その間にご主人様と少しお話出来るとありがたいのですが……」
「なるほど。では、よろしく頼むよ」
「では、奥様。こちらのオリエンテーションビデオをご覧になっていて下さい」
「はい」
そう言うと、櫂はモニターのスィッチを入れ、Welcomeの文字列が浮かび上がるのを確認してから、一礼して部屋を出た。
夫は櫂の案内に続いて、「すぐに戻る」と言って出て行った。
なんだか不思議だった。
トレーニングを受けるのは麻衣なのに、夫と櫂で何を相談するのだろうか。