この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
幸せの欠片
第8章 悟の出張
「三日間だから、お前も準備をしてジムに行くんだ」
「え?」
「合宿のようなものだ」
「はい……」
アリアとの時間を思い出すと、体の奥の方がキュンとした。
夫を愛してはいるが、アリアとの時間も楽しいと思う。
アリアは、好きになって欲しいと麻衣に言った。
そして麻衣の中にも、既にアリアへの愛おしさが膨らみかけているのを感じていた。
アリアは「共鳴」という言葉を使った。
同性だと、一緒に感じ合えるものなのだろうか?
夫や櫂に与えられる痛みや恥ずかしさには、耐える悦びがあったが、アリアとの時間は全く別の、共有できる何かがあった。
性行為に対して、今ほど興味を持ったことはないと思う。
でも、それを夫が望んでいるのだとアリアは言った。
これから起こることにも、まだまだ未知のことが多いかもしれないと思ったが、麻衣は、それを受け入れたい気持ちになっていた。
翌朝、麻衣は、言われた通りに三日分の支度を始めたが、着替えのところで迷った。
ほとんど着るものも要らないかも知れないし、重いものを持っても無駄になるだろう。
結局、化粧品と、お気に入りの下着を準備したら、後は特に何も要らないと思った。
家を留守にする準備をしようと冷蔵庫を開けた時に、ふと思いついたのが、アリアのために何かお菓子を焼いて行くことだった。
ダイエットをしているのだから、アリアにプレゼントする分さえあればいい。
冷凍室から小麦粉を出し、材料を混ぜ合わせて、さっとカップケーキを焼いた。
夫の出張は、職業柄、少なくはない。
でも、留守中に泊まりがけで出掛けるのは、これが初めてだったので、火の元や戸締りの確認を繰り返し、なんとか時間通りに家を出た。
スポーツジムの4階に到着すると、アリアが嬉しそうな顔で迎えてくれた。
「麻衣さん、今日から三日間、ずっと一緒にいられるんです」
「えぇ、そうなの。夫が出張で合宿ですって」
「昨夜、それを知ってから、私は嬉しくて眠れませんでした」
「まぁ、そんなに早く知らせが来たの?」
「メールで送信されるから、情報は早いのです」
パソコンや電子機器に疎い麻衣にも、アリアの言うことは理解できた。
ただ夫が、麻衣よりも先にここに知らせたということに軽く驚いていた。
「え?」
「合宿のようなものだ」
「はい……」
アリアとの時間を思い出すと、体の奥の方がキュンとした。
夫を愛してはいるが、アリアとの時間も楽しいと思う。
アリアは、好きになって欲しいと麻衣に言った。
そして麻衣の中にも、既にアリアへの愛おしさが膨らみかけているのを感じていた。
アリアは「共鳴」という言葉を使った。
同性だと、一緒に感じ合えるものなのだろうか?
夫や櫂に与えられる痛みや恥ずかしさには、耐える悦びがあったが、アリアとの時間は全く別の、共有できる何かがあった。
性行為に対して、今ほど興味を持ったことはないと思う。
でも、それを夫が望んでいるのだとアリアは言った。
これから起こることにも、まだまだ未知のことが多いかもしれないと思ったが、麻衣は、それを受け入れたい気持ちになっていた。
翌朝、麻衣は、言われた通りに三日分の支度を始めたが、着替えのところで迷った。
ほとんど着るものも要らないかも知れないし、重いものを持っても無駄になるだろう。
結局、化粧品と、お気に入りの下着を準備したら、後は特に何も要らないと思った。
家を留守にする準備をしようと冷蔵庫を開けた時に、ふと思いついたのが、アリアのために何かお菓子を焼いて行くことだった。
ダイエットをしているのだから、アリアにプレゼントする分さえあればいい。
冷凍室から小麦粉を出し、材料を混ぜ合わせて、さっとカップケーキを焼いた。
夫の出張は、職業柄、少なくはない。
でも、留守中に泊まりがけで出掛けるのは、これが初めてだったので、火の元や戸締りの確認を繰り返し、なんとか時間通りに家を出た。
スポーツジムの4階に到着すると、アリアが嬉しそうな顔で迎えてくれた。
「麻衣さん、今日から三日間、ずっと一緒にいられるんです」
「えぇ、そうなの。夫が出張で合宿ですって」
「昨夜、それを知ってから、私は嬉しくて眠れませんでした」
「まぁ、そんなに早く知らせが来たの?」
「メールで送信されるから、情報は早いのです」
パソコンや電子機器に疎い麻衣にも、アリアの言うことは理解できた。
ただ夫が、麻衣よりも先にここに知らせたということに軽く驚いていた。