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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第28章 BLUE BIRD
土曜の昼過ぎ
俺はマリアの病室を訪ねていた
いい加減、俺も
身の回りの片付けもしないとならない
今日は・・・なるべく早めに
帰らないとな
・・・って
『マリア・・・っ』
病室のドアを開けるなり
床に転んでいるマリアと対面した
『ぁ・・・ゆぅちゃん・・・』
『・・・どうした?!大丈夫か!?』
直ぐに駆け寄ってマリアを起こす
『うん……ごめん』
『看護師さん呼ぶぞ?』
『ううん・・・大丈夫、ちょっと…』
『マリア・・・もしかして
トイレか?・・・だったら』
『ち……がうの、ほんと・・・ごめん』
マリアは少し顔を赤くして
首を振った
一人ハラハラして冷や汗かいた俺は
そんなマリアの様子を
一瞬だけ見守った
『マリア・・・?』
『ちょっと…やってみよう・・・って』
『・・・???』
マリアは、起こそうとする俺の手を
やんわりと押し返して
ベットの手すりに手をかけた
『なんとか・・・歩けないかな、って
せめて・・・立てれば
自分で……やれること、増やして…』
そう言いながら
マリアは腕の力だけで
体を起こそうとしていた
『っ・・・』
俺の目頭が…一瞬で熱をもって
視界が、涙で滲んでいく
普通に生きてりゃ
人間……自分の体を
自分で自由に動かすなんて
当たり前にして生きている
日常に…人はそれぞれ
嫌な事や苦しい事があって
普通でいる事に有り難みなんて感じない
そんな〃当たり前〃が
当たり前でないことを
人は…中々痛感出来ない
それを・・・失ってからでないと
知ることが出来ないのかも知れない
マリア自身
ほんの一週間か二週間前まで
それが…当たり前に出来ていた
どんなにその人生が困難で満ちていても
自分の体を自分で動かす
そんな当たり前だけは
マリアにもあったんだ
それが・・・あの一瞬で
俺の目の前には
そんな…当たり前の自由さえ
失ったマリアがいる
俺はマリアの病室を訪ねていた
いい加減、俺も
身の回りの片付けもしないとならない
今日は・・・なるべく早めに
帰らないとな
・・・って
『マリア・・・っ』
病室のドアを開けるなり
床に転んでいるマリアと対面した
『ぁ・・・ゆぅちゃん・・・』
『・・・どうした?!大丈夫か!?』
直ぐに駆け寄ってマリアを起こす
『うん……ごめん』
『看護師さん呼ぶぞ?』
『ううん・・・大丈夫、ちょっと…』
『マリア・・・もしかして
トイレか?・・・だったら』
『ち……がうの、ほんと・・・ごめん』
マリアは少し顔を赤くして
首を振った
一人ハラハラして冷や汗かいた俺は
そんなマリアの様子を
一瞬だけ見守った
『マリア・・・?』
『ちょっと…やってみよう・・・って』
『・・・???』
マリアは、起こそうとする俺の手を
やんわりと押し返して
ベットの手すりに手をかけた
『なんとか・・・歩けないかな、って
せめて・・・立てれば
自分で……やれること、増やして…』
そう言いながら
マリアは腕の力だけで
体を起こそうとしていた
『っ・・・』
俺の目頭が…一瞬で熱をもって
視界が、涙で滲んでいく
普通に生きてりゃ
人間……自分の体を
自分で自由に動かすなんて
当たり前にして生きている
日常に…人はそれぞれ
嫌な事や苦しい事があって
普通でいる事に有り難みなんて感じない
そんな〃当たり前〃が
当たり前でないことを
人は…中々痛感出来ない
それを・・・失ってからでないと
知ることが出来ないのかも知れない
マリア自身
ほんの一週間か二週間前まで
それが…当たり前に出来ていた
どんなにその人生が困難で満ちていても
自分の体を自分で動かす
そんな当たり前だけは
マリアにもあったんだ
それが・・・あの一瞬で
俺の目の前には
そんな…当たり前の自由さえ
失ったマリアがいる