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第28章 ＢＬＵＥ ＢＩＲＤ

〃普通〃ってなんだろうな…？

事の定義って難しいよな

言葉って……本当に難しいぜ



〃『普通はさ…』〃なんて

どこにでもある

たった一言で

どこか遠くにいる誰かを

知らぬうちに傷つけることだって

きっとあるだろうよ






〃普通に〃・・・改め


〃どこにでもありふれてる

当たり前の自由？〃





朝…目を覚まして、起き上がって

仕事とかだりぃ…なんてぼやきながら

トイレ行ったり、シャワー浴びたり

プラプラ歩いたり

電車に間に合わねぇ、とか焦って

渋々走ったりさ


なんて



んな当たり前の事に

特別な意識したり

感謝するヤツなんか…早々いない




世の中の多くの人間が

なんの気なしに…それこそ当たり前に

そんな〃見えない自由〃に囲まれて

生きている





事故に遭ったやつが

朝、家を出る時に

自分が事故るなんて…想像なんかしない




残酷に…突然、奪われる

当たり前の自由




当たり前にある

見えない自由・・・





俺自身だってそうだ


そして・・・マリアも


ついこの間まで、そうだったはず





自分の体を自分で支える

チャリの乗り方を
自然に体が覚えてるのと同じように

コケたら立ち上がる

反射神経のように
何の気なしに…

手と脚の筋肉を
脳が…勝手に動かしてくれて

バランスよく…力が上手く働いて
ごく自然に起き上がる


当たり前に備わってる
俺たちの運動機能



床に尻モチをついた

だから…自分で起き上がる



たったそれだけのこと




それが出来ないなんて

突然出来なくなるなんて

考えられないだろ？




たったそれだけの事に

苦しんで…食らいつく

目の前のマリアの気持ちを

俺だって

本当の本当にわかってやる事は

きっとできねぇんだ




それを失った


そこに直面したやつにしか


きっと本当に感じることは出来ない


そんな苦しみなんだ