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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第28章 BLUE BIRD
『マリア・・・まだ安静にしないと』



『ん・・・、…っ、もうちょっとだけ』




マリアは頭の傷でさえまだ治っていない

今後の治療やリハビリだって

何も決まっていないのに

医者の指導もなしに無茶をして

またケガをしたり

頭なんか打ったら…シャレにならない







背中に汗を滲ませて一生懸命なマリアを
無理やり止めるのも気が引ける

俺は冷や冷やしながら
ひとまずは手をかけずに
いつでも支えられるように

マリアの肩の当たりに
両手を近付けて待った





体鍛えまくってる
ムキムキな選手じゃあるまいし


どんなに…頑張ったって


突然動かなくなった脚を

その全身を

細い腕で起こせる訳がない





『~~っ・・・あっ』



『マリアっ……』




しばらく頑張って
ついに手を滑らせたマリアを

俺はそのままキャッチして
床に一緒に座った





『ハァ……ハァ……ハァ……』


『危ねぇから……もう少しだけ

安静にしようぜ、マリア』





『ごめん・・・、…あっ!?』





俺はマリアを抱き上げた






『ゆぅちゃん・・・おろして!?

お・・・重いから・・・っ』







『ちっとも重くねぇから・・・♪

~少し外の空気でも吸いに行くか?』





ダラっと……力の入っていない

マリアの二本の脚




ほんの少し前までのマリアと

まったく違うマリアが

俺の腕の中にいる







悲しい・・・?



そんな事…俺が言うなんて

許されねぇよ



俺の・・・せいなんだから



それに


一番苦しいのは・・・マリアだから






俺は…そんな気持ちを押し殺して

どこか必死に

笑顔を装っていた







『ゆぅちゃん・・・せめて』







いわゆる・・・お姫様抱っこ・・・





マリアが…恥ずかしそうに顔を赤らめて




病室の隅に寄せてある

車椅子を控え目に指差した






『マリアが駄々こねて

ケガするとわりぃからな♪

散歩しような?』





車椅子にマリアを乗せて

ゆっくり・・・それを押した
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