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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第28章 BLUE BIRD
『あったかいね・・・』

『あぁ・・・暑さはさすがに落ち着いたな』




『秋かぁ・・・早いね』

『ほんとにな・・・』




外の空気を吸いながら
マリアと病院の外を歩いた




『ありがと・・・ねぇ、ゆぅちゃん

少し・・・自分で動かしても良い?』





マリアはやっぱり

事あるごとに自分で動こうとする




『・・・。ちょっとだけだぞ?』





マリアは・・・ホントに
根が真面目だしさ

頑張り屋で
努力家だけどさ



リハビリどころか
傷も治っていない

当然、退院も
まだ出来ない



そんなマリアを

それも・・・こんな
残酷なまでの窮地にいるマリアを


こう動かすのは




がむしゃらな気持ち?

それとも・・・前向きな心か?





『なぁ……マリア

そんな…無茶っつぅか
急がなくても

なんで・・・そんなに
頑張るんだよ』






そんな事を聞いて、俺は

瞬時に・・・後悔した









『やってみなきゃ…わからないから』






『ぇ・・・』







『悲しむのも…諦めるのも

まずは・・・やってみてから』







『・・・』







『なにもしちゃいけない、なんて
言われたんじゃない

わからないけど…
やってみる価値のあることは…ある

やれることがあるなら…やってみる』







ごめん・・・



そう言いそうになって

口をつぐんだ




だって俺……サイテーじゃねぇか




マリアの意識が戻って

めちゃくちゃに感謝してる俺は

なんだっていい…なんでも受け入れられる

なんて言ってた俺は

何処へ行ったのか




諦めずに頑張ろうとする
マリアの横で

俺は…勝手に
俺のが一人で

めちゃくちゃに
絶望しきっていた




ごめん・・・なんて言って

俺が楽になるのは、違うぜ






でも……それだけじゃなかった


そんなワケがなかった





マリアだって・・・マリアは

生身の人間


それも・・・やたら人間らしい人間だ


前向きさや強さ

それだけなワケは……ねぇんだ







『諦めずに、前向きに・・・だけどさ』



『・・・』






『〃希望〃なんか

持たない方が・・・良いのかもね』






その本音だって・・・出てくるんだ
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