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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第28章 BLUE BIRD
結局、俺は

この日も面会時間ギリギリまで

病院でマリアの側にいた



あの男が…来てしまうかも知れないのに





だけど…俺が

何だかんだで、のんびりと

面会しているのは




そんな訪問者が…ほぼ居ない

その事実もあっての事だ




それは……協力者がいない

そんなマリアの現実を

またひしひしと実感させて

俺を・・・何よりマリアを

不安にさせていた






『ん・・・っしょ、ありがとう』



『疲れたろ?今日はもう休みな』




マリアを抱き上げてベットに戻す




『ふふ・・・うん

あ、でも今から手の体操する

ゆぅちゃんが聞いてきてくれたやつ

腕の筋肉はやっぱり大事みたいだし』





やれやれ、まいったな・・・なんて

ぼやくフリをして

頑張る事をやめないマリアに微笑む







『ゆぅちゃん・・・家の事、あるでしょ』




『・・・』





『一日中・・・ごめんね』





『それ・・・ナシって約束だろ?』





『あは・・・そうだね

今日も…ありがとう』





『明日…また来るから』





『引っ越し準備…出来ないじゃない』






『どうにでもなることは、どうにでもする

マリアは…余計な心配すんな、マジで』







『ん・・・わかった、ごめん

もう言わない』






『うん・・・ヨシ(笑)』







『言わないから・・・お願い』






『うん・・・?』






『図々しいけど……お願いがあるの

ゆぅちゃん、ホントに

自分の事を・・・一番に考えて

私は本当に……大丈夫だから

お願い・・・ゆぅちゃん』






『・・・』







『ゆぅちゃん…』






『わかったって・・・』




そう生返事しながら

俺は、別れるのを惜しむように

マリアをギュっと抱き寄せて




『マリア・・・』




マリアに・・・ひっそりと



ずっと、脳裏に浮かべていた

提案をした











『マリア・・・今度こそ

逃げちまおうか・・・二人で』
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