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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第28章 BLUE BIRD
『ゆぅちゃん…もう、やめて』




それは絶望的な提案だろう?

それを物語るように
マリアは目尻を下げて力なく笑った






『やれないことなんか・・・ねぇよ』





『・・・うん』





マリアはただ、うん…うん…とうなずく

それは・・・逆に

聞き入れる意思がない、と言うサイン





『今からだって……俺が介助の勉強したり

日常生活に困らないようなサポートから

慣らしてく事は出来るよ』







『もう……現実逃避は…出来ないよ

ちっとも・・・現実的じゃないよ、それ

その気持ちだけで……十分』







『マリア・・・同情だとか

罪悪感だとか・・・思ってんのか?』





俺は…少し拳を握りしめた





『思ってない・・・』






『・・・ぇ』




マリアは…ニッコリと微笑んだ








『ちっとも・・・思ってないよ』







『・・・』








『ゆぅちゃんは…そんな気持ちで
人にそういう事を言わない

ゆぅちゃんの気持ちには
いつだって・・・嘘がない

私は……それを知ってるよ
だから・・・本当は嬉しかった』









『マリア・・・だったら』










『ん・・・、ふふっ』





マリアが笑って、滲んだ涙をごまかした








『走れないなら…歩けないなら

俺が担いで走ってやるから

追っかけられても心配ねぇから…』






『ん・・・、っ……ふふ……っ、グスっ』







『マリアがいると…俺

マリアといると、頑張れんだよ…俺』






『っ……ぅ…っく、…』







『そばに……いてくれたら

それが一番幸せなんだ・・・俺…っ』







『それを…望めるなら私・・・

それが叶うなら

今度こそ死んじゃってもいいな……ふふっ』






『マリア・・・』








『でもね、ゆぅちゃん…私』





『・・・』


















『好きな人の〃重荷〃にだけは

なりたくないの・・・』












『・・・』


〃・・・〃




俺には俺の

マリアにはマリアの〃想い〃がある



それを…押し付ける事も

押し通す事も

お互いに・・・出来ないんだ
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