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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第28章 BLUE BIRD
今回の事も、これまでのことでも

マリアに対して

後悔や懺悔……罪悪感

そんなモンに心を痛めるくらいなら

まだ可愛いが



コイツにあるのは…せいぜい

自分の身に危険が及ばないか、とか

そんな保身だろう



あの日に見たコイツの姿

俺は忘れない



酒に酔って覚えてない…なんて、通らない



コイツは確かに自分の意思をもって

人を殺めようとした


そして…結果として

マリアに手をかけた



俺が忘れないのは…その後の姿でもある



イカレ狂って暴れた挙げ句

自分の起こした大惨事



あの時

血だらけで倒れてたマリアを前に


この男は発狂してうずくまり

泣き出しそうな子供みたいになって

最後まで

マリアの救護もしなかった




動転して病院までの記憶が

ごちゃごちゃだった俺でも


ヤツのその姿は・・・ハッキリ覚えてる




救護もできねぇのに

その後の偽装工作は完璧に出来るヤツ





ほんとに、どうしようもねぇ男




ちっちぇ男・・・







その姿を記憶していたから

余計とヤツを軽蔑し

腹の中で皮肉んでいる俺がいて

堂々と面会なんかしていたのかもな






もっと単純に言えば

ここは……〃公然〃…病院だから

この男がマリアに接触しても

やたらに危害なんか加えられない



俺と接触したって

自身のやましいことがバレやしないかと

せいぜいビクビクしてんじゃねぇか、なんて

たかをくくるワケじゃないが

俺は内心そう思ってた





そんな俺は…


俺は俺で、立場をわきまえる事も忘れ



マリアの姿に動揺して

ヤツを押し退けるように

そこに駆け寄った






『マリア・・・?・・・マリア』
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