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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第7章 守りたい・・・
俺はマリアが玄関を出るのを妨げていた。


『ぁ・・・の』


手を掴んで離さない俺を
マリアが薄茶色の瞳を
くりっと動かして見ていた。






『帰るな・・・』











『ゆぅちゃん…なに言ってるの』









『そんな家に…帰るなよ』





俺の不謹慎な思いとはまた違う。



ケガしてるのに、辛いのに
笑って出ていこうとするマリアを


本気で家に帰したくない・・・
俺はこの時そう思ったんだ。



いや・・・多分

俺は毎回そう思ってたんだ。

黙って見送るのが…少し
限界だったのかもしれない。





『ゆぅちゃん・・・手はなして』






『なんで…笑ってんだよ?』




『え・・・』





『泣きたいのに笑っててさ
痛てぇのに痛くねぇってさ・・・

なんで・・・そうなんだよ
お前ら女ってさ・・・』





『ゆう・・・』






『帰ったって…また
同じ目にあうだけじゃねぇかよ!!!』






マリアを・・・絶望させるようなこと
言ったら、ダメだ。






『ごめん。もう・・・来ないから』





『マリア・・・そういう』







『もうここには来ないから…!』








『そう言うことじゃなくて…!
俺がいってるのは、ちゃんと…』








『わかってたの…!
こんなの、いけないって』

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