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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第10章 ダメかな・・・?
【数日前】


『カズキ・・・話したい。いいかな?』



マリアは、役所に出す書類を手に
夫の前に立った。




『これ・・・』


『・・・お前』




カズキの目がギロリとマリアを捕らえ
睨み付けた。




『私と…別れて下さい』





『・・・』


『もう…あなたと生きていけません』






『フン…田舎にでも帰るのか?

でなきゃ、どうせお前なんか
その辺でのたれ死ぬのがオチだろうしな

別れたいなら勝手に出ていけ
今すぐになっ!』






『・・・出ていきます』






『!?』






『ここからも出ていきます。
一人で…生きていきます。

あなたのいない世界で
あなたのいない人生を

生きていきます…』






『マリア…っ、お前っ?!』


『だから…それ署名してくれる?』







『~~~~っ!!』





『出ていけ…って

カズキは・・・私に
何度も言ったよね…。

いく場所ないのわかってて
いつもそう言ったよね…。今も…。

だから私・・・出ていくよ?

これまでのこと、ありがとう

私なんかと一緒になってくれて
ありがとう。

感謝してる。
長いこと、お世話になりました』



マリアが深くお辞儀をして
自室から大きなバックを持って出てきた。








『待てっ…マリア!!

俺は何も…認めないぞ!?

お前の独断でなんか出来ないんだからな!』






『それでも・・・
私はここにはいない

あなたとは暮らさない。
二度と戻らない』




『お前っ・・・』






『殴れば・・・』





『っ!!』





『殴ればいいよ…。殴りなよっ?!
気のすむまでっ・・・!!!』




マリアの怒声に
カズキの振り上げた手が停止した。




『・・・今まで、ありがとう』






バタン・・・





マリアは早足で家を出た。
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