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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第14章 薄汚いこと・・・
事が事なだけに…特別に

ここだけの話…


と言った風に、おばさんが
俺に話してくれた。




隣の男は、そもそもは
見たままの気さくなヤツで

おばさんともよく話をするが

仕事が上手くいかず
職を転々としたり

少し精神不安そうな面があったそうだ。


よく喋るヤツだけに
おばさんは話も聞いてあげたり
励ましたりで

様子を気にかけてはいたそうだ。


仕事も上手くなく
彼女にも別れを告げられ

孤独だったり不安だったり…



なんて話も…。





ある意味
俺にとっては聞かずとも良い話だった。



だってさ
マリアになんの関係もない話だろ



そんな
勝手な事情…
言い訳…にもならない言い訳

甘ったれた理由で、手前勝手に

人に危害を加えて良いことなどない。



マリアにあんな酷いことを
して良い理由になどならない


事情があろうがなかろうが
許される事ではないから。



本音を言えば
聞いた所で腹立たしいだけだ。




『あの、大家さん…妙な事を聞きますが』



『はい…?』



俺は失礼は承知で
念のために聞いた。



『こちらでは…その
入居者の個人的なことや、情報が

他の入居者に漏れるようなことって
ありませんか?』




『・・・。

ご入居様同士の間で…ならともかく

私の口から、入居者様の個人情報や
そういった事をお話することは
一切ありませんよ。

こういう世の中ですからね…特に』




『そうですか…すみません』



疑う余地もないような人を前に
失礼極まりない事を聞いてしまった。


だけど、それでもおばさんは
加えて俺に説明してくれた。


なるべく住人の顔を見ては
接触するようにしたり

どんな人物なのか

トラブルになるような事を
抱えていないか

住人同士のトラブルが起こってないか
常にコミュニケーションを心がけて

全ての居住者が安心して
安全に住めるように
気を配っているようだった



聞いている以上に
しっかりとした、良い大家さんみたいだ。


(逆に言うなら、住人同士でのトラブルを
防ぐには限界もある…)


ちなみにそんな中で
最近ここに越してきたマリアを
本当に可愛がってくれてることも。

だからこそ、と

おばさんは今回の事に
本当に心を痛めていた。
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