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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第15章 命の・・・重さ
限りなく〃元旦那〃に近い旦那の
子どもだからってさ…

どこの誰だかわかんねぇ男の子どもを
妊娠したワケじゃねぇんだ

それでも



子どもを授かることを望んでたハズの
マリアに

〃堕胎〃を選択させようとするのは



極めつけは…この状況だ。





『あの人の…子。間違いなく…』





お腹を押さえながら
下を向いてマリアが言った。





『でもさ…マリア、ピル飲んでたろ?』






マリアは別居してからは
もうピルを飲んでいない。

言う必要ないかもしれないが
俺はもちろん必ず避妊しているけど。



旦那といた時は薬飲んでたはず



なのになぜ・・・と言う気持ちはある。






『…ある時を境に、あの人
不妊治療の資料とか集めてきて

「病院行け」「病院行け」って

言ってた時に…ついには、また暴れて

私…ちょっと外出が…出来なくて』







暴力振るわれて…

傷が治るまで人前に出れなかった

…ってことか。






『それで…薬切らした事があったんだ。

ほんのちょっとの間だけど…

多分…その時に・・・』







外に出られない

薬も切らしてる。




かと言って旦那はそんなこと知らない。

もちろんマリアが別居しようとしてた事も
当時は知らない。


そんな旦那に



下手にセックスを拒めば

マリアはまた暴力振るわれる…

仕事も行けなくなる




黙って…耐えるしかなかった。







なんの因果か・・・


とんだトラップでも仕掛けられたような


そんな気持ちになる。










これは…マリアはどう思ってるか
俺にはわかんねぇけど





その妊娠は…




マリアにとって

そんな辛い・・・怖い思いしたことまでも

思い出させることになる。
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