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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第15章 命の・・・重さ
〃なんであんたが泣くのよ〃

〃あんたにそんな資格はない〃


私は必死にそう言い聞かせていた。



だって私は・・・

自分の都合で

自分の勝手で



無責任に・・・


この子を殺そうとしているんだから。






「大丈夫よ?」


点滴をつけ終えた看護師さんが
こう言う





「痛みは感じないし

眠ってる間に、すぐ済むからね」








そう言って、またガーゼで
涙を拭いてくれる





ロボットみたいと思う看護師さんが
ニコリと笑いかけてくれた






「こわい?」





声が上手く出せない私は
必死に首を振って否定する





痛くなんかない

恐くなんかない


そんな……優しくしてもらう資格なんか

私には・・・ない。



私は・・・人殺しをするんだもん。




やめよう…


考えるのをやめよう



思えば思うほど



何故かどんどん涙が出てきて



看護師さんがさすがに
困ってるようだった。







「同意書は・・・取り消すことも

出来るのよ?」





今にも手術が始まろうと言うときに

私の耳に看護師さんの声が届く。






『~~っ…っ…~~』








「……いいのかな?」








私は声を振り絞った








『いいん……です』








「……」







考えるの・・・よそう


決心が、鈍っちゃう





それに、もうここまできて


逃げられない状況じゃない




やめよう・・・



〃お別れ〃が



惜しくなっちゃうから














『堕ろしてください・・・』
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