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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第17章 翼を・・・ください
その人にはその人の…
考え方も感じ方もあるはずだ


もしかしたら、こういう時だからこそ
自分がしっかり支えないと…だとか


なんらかの思いがあってのこと
かもしれない


実際大の男が…一緒になって
ビャービャー泣いてなんかいられねぇ
確かに…そうかもしれない


痛みに寄り添う方法は
決してひとつじゃないかも知れねぇよ…





『・・・オイ』




俺は自分の立場も忘れて
思わず…去って行くその男の肩を
掴みそうになっていた…




わからなかった・・・




どんなに考えても…わかろうとしても




それでも俺には…わからなかった





俺には・・・


ソイツがマリアに放った言葉も…


身体も心も悲鳴をあげているマリアを
ひとり置いて

あっさりと去って行こうとする
ソイツの気持ちが

考えてることが

まったく理解できなかった・・・。








ソイツにしかわからない
真意があるかもしれない


あってほしかった・・・


せめて、信じたかった


確信したかった


この人も…本当は
身を引き裂かれる程
哀しんでいる…と










俺の、そんな隠しきれない不信感が

嫌なものをこみ上げさせた






あんたにとっちゃ
マリアは自分の人生の道具で…


授かった子どもは……それさえも


自分の元から逃げ出した
かごの鳥みたいなマリアを


連れ戻すための……〃道具〃だったのか?





そんな嫌な仮説(モノ)を
俺の中に沸き起こさせる…








泣きゃあいいってモンじゃねぇ

喚きゃいいってモンでもねぇ





でも・・・ただ聞いてみたかった



なぁ…?あんた…


本当に涙ひとつ出ないのか?


こんな時に…こんなマリアを見ても





あんたの分身が、いなくなったんだぞ?


本当に…それでも


それが、あんたの本心なのか?





俺・・・わかんねぇよ、あんたのこと






俺・・・






俺なんかでもさ・・・




涙が止めらんねぇってのにさ・・・
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