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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第17章 翼を・・・ください
『赤ちゃん・・・』
マリアが・・・長い沈黙を破り
反対側を向いたまま声を発した
『・・・マリア』
『赤ちゃん・・・もう
産めない身体になった・・・とでも
言われるのかな…なんて思ったけど』
詳しい状況、結果を
医者から聞いたりすることは
俺には・・・もちろんできなかった
全て医者から聞いたのはあの人だから
だけど、最悪の場合は
そういう可能性もあった…そういう事だ
最優先されるのは母親の命・・・
母体が危なければ子どもは諦める…
あとは…俺は後々詳しく知っていった事だが
出血が止まらないとか様々な事由で
母体の命が危ぶまれれば
子宮を摘出するとか…あるいは
うまくいっても、後々…癒着してしまって
妊娠できなくなったりとか
そういう事は実際に起こりうる
そして、マリアの身に起こっても
おかしくなかったと言うこと
マリアが命を落とす・・・
そんな…最悪だけは避けられたけど
マリアの声が…震えてた
『でも・・・だからって
〃次がある〃…だなんて』
『・・・』
俺にも聞こえてた
違和感たっぷりの…あの人の言葉
確かに・・・マリアは無事だった
二度と子どもが産めないと言われた訳でも
身体の一部を失った訳でもない…
この先また…チャンスはある
それは確かに、そうかもしれない
物理的な可能性として…理屈として
事実かもしれないけどさ・・・
『〃あの子〃が・・・いなくなっちゃったのに』
マリアが…もう〃その子〃がいない
そうわかっているお腹に手を当てて
声を詰まらせた
〃この子〃…から〃あの子〃…に
なってしまった現実・・・
『もしも…いつかまた恵まれても
〃あの子〃じゃないのに
〃あの子〃には…二度と逢えないのに』
物理的じゃなくて…理屈じゃなくて
人には・・・
〃心〃ってもんが…あるんじゃねぇの
俺は再びすすり泣くマリアの横で
マリアの手の上からお腹に手を当てて
旅立った小さな命を悼んだ・・・
マリアの
終わりのない悲しみに
寄り添う方法が
他に見つからなかったんだ・・・
マリアが・・・長い沈黙を破り
反対側を向いたまま声を発した
『・・・マリア』
『赤ちゃん・・・もう
産めない身体になった・・・とでも
言われるのかな…なんて思ったけど』
詳しい状況、結果を
医者から聞いたりすることは
俺には・・・もちろんできなかった
全て医者から聞いたのはあの人だから
だけど、最悪の場合は
そういう可能性もあった…そういう事だ
最優先されるのは母親の命・・・
母体が危なければ子どもは諦める…
あとは…俺は後々詳しく知っていった事だが
出血が止まらないとか様々な事由で
母体の命が危ぶまれれば
子宮を摘出するとか…あるいは
うまくいっても、後々…癒着してしまって
妊娠できなくなったりとか
そういう事は実際に起こりうる
そして、マリアの身に起こっても
おかしくなかったと言うこと
マリアが命を落とす・・・
そんな…最悪だけは避けられたけど
マリアの声が…震えてた
『でも・・・だからって
〃次がある〃…だなんて』
『・・・』
俺にも聞こえてた
違和感たっぷりの…あの人の言葉
確かに・・・マリアは無事だった
二度と子どもが産めないと言われた訳でも
身体の一部を失った訳でもない…
この先また…チャンスはある
それは確かに、そうかもしれない
物理的な可能性として…理屈として
事実かもしれないけどさ・・・
『〃あの子〃が・・・いなくなっちゃったのに』
マリアが…もう〃その子〃がいない
そうわかっているお腹に手を当てて
声を詰まらせた
〃この子〃…から〃あの子〃…に
なってしまった現実・・・
『もしも…いつかまた恵まれても
〃あの子〃じゃないのに
〃あの子〃には…二度と逢えないのに』
物理的じゃなくて…理屈じゃなくて
人には・・・
〃心〃ってもんが…あるんじゃねぇの
俺は再びすすり泣くマリアの横で
マリアの手の上からお腹に手を当てて
旅立った小さな命を悼んだ・・・
マリアの
終わりのない悲しみに
寄り添う方法が
他に見つからなかったんだ・・・