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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第18章 捕らえられた・・・かごのとり
ゴク…っ




電車を降りて少し歩く

見えてきたその建物に
無意識に喉が鳴った





何が俺を
そんなに緊張させるんだ?




そりゃ・・・


俺にまとわりついて離れない


〃最悪〃の可能性、数々だろうな







マリアは・・・ここにも、いない





そうであってほしい



だけど…そうなると
もっと大変な

さらに最悪の予感が
生まれることにもなる






マリアは・・・あの男と

あの旦那に会うと言ってから

そのまま連絡が途絶えたんだ







一番最悪でありながら

一番その可能性のある場所・・・





言うまでもなく

俺が乗り込むなんて

それこそ最悪の場所だ






だけど・・・






今マリアの所在がわかんねぇんだ





言ってしまえば…

生きてるかどうかも・・・俺には





って…


何言ってやがるんだ…バカ





必死に掻き消すが

どうしても頭を過った
最悪のシナリオ…




〃「いくらなんでも殺されはしない」〃



最後の電話で
俺の心配を消すためにか
マリアがふざけつつ言った言葉だ



冗談…悪ふざけであり


でも実際にそうだと
暗黙に思っていることだ



いくらなんでも…それはないだろう、と








いくらDV野郎でも

冷酷なヤツでも



あんなエリートタイプなヤツだし?
さすがに・・・



いや・・・ああいうタイプだから
逆に・・・






テレビやニュースの中で…

まさに他人事みたいに流れてくる



別れ話のもつれで逆上した末に

相手を刺し殺した…


だの


別れた旦那がストーカー化して

追いかけられた挙げ句見つかって

殺された…だの



他人事と思ってることが

実際に世の中で起こってるんだ…



自分が巻き込まれない…

マリアに・・・そういう事が
降りかからない

そんな保証なんて…ないんだ




って…だから


やめろ…!


やめろやめろ…っ








なんて・・・考えてもキリがない







可能性の芽を潰していく

それだけだ





さっさとしやがれ…俺




ビビってんじゃ・・・ねぇよ








俺は…巨大なコンクリートの塊へと

足を進めた
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