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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第18章 捕らえられた・・・かごのとり
さて・・・どうするか




マリアをトイレに行かせてる間に
俺は策を練る…


なんて賢い事には程遠く



頭を悩ませていた





出口という出口はない・・・





どうする?……









『ありがと・・・助かった』



トイレから戻ったマリアが
元の位置に戻ろうとする






『おい、マリア・・・?』




『適当に言い訳しておくから大丈夫

ゆぅちゃん・・・ホントに、もう行って?』






『んなこと出来るわけないだろ?!』






マジで何言ってんだよ?マリア






パシ・・・



ポンポン・・・









『しっかりしろ・・・』




俺はマリアの頬を両手で挟むように
軽く叩いた







『早く・・・逃げるぞ』




マリアの手を引いて
立たせようとする







『逃げると・・・追われる』







『・・・っ!?』








『逃げようとすればするほど

あの人は……追いかけてくる』









マリアが俺の手をほどこうとする









俺・・・悔しいっつうか

悲しかったんだ




マリアの言うこと…って言うか




久々に見てさ…




マリアのこの・・・表情





やつれてる…とか
そのせいもあるかもしんねぇけどさ




何よりは・・・マリアの瞳(め)




薄茶のキレイなマリアの瞳が



なんとも濁ったように



どんよりとしている





こんな表情(カオ)を
俺はいつか見たことがあったんだ





出逢ったばかりのころのマリア・・・



目が死んでる……って言うかさ



何もかも諦めたみたいな

笑ってるけど目が笑ってない



そんな表情




自分の足で歩きはじめて
元々綺麗な瞳を更に輝かせて

キラキラしてたり
ニコニコしている

本来の……本当のマリアを知った
今の俺にとっては


本当に悲しいマリアの姿だ




二度と・・・こんな顔
マリアにさせたくなかったのにさ





実際に…この場の
同じ空気を吸えば
わからなくもない

気が狂ったって
おかしくない

マリアは…あの男に接触して
制裁を受ける…
ましてやこんな風に閉じ込められて

一瞬で感覚の麻痺した自分に
戻ってしまったのか?

それが…切なかった
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